検査科
検査科では、病気の診断や治療効果の判定を行うために様々な項目を実施しています。
尿や便、血液などを試料として行う検体検査と直接患者様に触れて行う生理検査の2つに分けられます。
検体検査
尿や便、血液などの試料(検体)について、そこに含まれる成分や細胞の形や数などを調べる検査のことです。以下の通り、各専門部署に分かれて検体検査を行っています。
生化学検査
主に採血した血液を遠心分離機にかけて、血清と血球成分に分離した後の血清を使用して検査します。
肝臓や消化器の検査項目として、総ビリルビン、間接ビリルビン、AST、ALT、γGTP、ALP、LDH、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、心臓の検査項目として、CK、CKMB、腎臓の検査項目として、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、脂質代謝検査項目として、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、糖代謝検査項目として、血糖、グリコヘモグロビン(ヘモグロビンA1c)、電解質検査項目として、Na、K、Cl、その他、痛風の目安となる尿酸値や蛋白質など、合計27項目を院内で測定することが出来ます。採血された血液は、固まるのを待って、遠心分離機に15分かけ、その後、AU680生化学分析装置にかけられ、15分ほどで測定結果が出ます。異常値を示した場合は更に再検査をしています。採血から1時間程度で、結果が出せるよう心がけております。
血液学検査
貧血の有無には赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット(Ht)、網状赤血球数(Ret)を検査し、貧血の種類判定にはRBC、Hb、Htの項目より計算される平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血液像などを検査しています。また、感染症や炎症の存否および、強度の判定に白血球数(WBC)、白血球分類、出血傾向には血小板数(Plt)などを検査しています。
凝固検査
血液が固まる機能を調べることで、出血性疾患、血栓性疾患などがわかります。
血が固まりにくいとPT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fib(フィブリノーゲン)、OTT(トロンボテスト)に異常が見られます。また、経口抗凝固薬(ワーファリンなど)の投与量の目安にPT-INRを調べています。血が固まりやすく、血栓ができるとFDP(フィブリン分解産物)、Dダイマーが上昇します。脳梗塞、心筋梗塞のほか、動脈瘤やDVT(深部静脈血栓症)の早期発見に役立ちます。
一般検査
尿検査は尿中の成分(pH、蛋白質、糖など)を調べたり、細胞成分を集めて顕微鏡で細菌や赤血球の有無などを観察しています。尿を検査することにより、腎臓の働きや糖尿があるかを知ることができます。その他にも尿を用いて行える検査には、レジオネラ菌・肺炎球菌・妊娠反応があります。糞便検査は便中に血液が含まれているかを判定する便潜血反応や、寄生虫検査、ロタウイルスの検査を行っています。体腔液は胸水・腹水の検査を行っています。(色調や比重などを測定することで、疾患の有無の判定材料となります。) 穿刺液は髄液の測定を行っています。(髄液は髄膜炎や脳炎の診断に用いられる検査です。)その他にも、鼻や喉の粘膜を綿棒でこすったものを使用する迅速検査には次のようなものがあり、15分程度の時間を要します。 β-A群溶連菌、RSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなど、全ての検査を速やかに実施し、早く結果を報告するよう努めております。
免疫血清検査(感染症・腫瘍マーカー)
感染症検査として、B型肝炎、C型肝炎、梅毒の検査を行なっております。腫瘍マーカー検査では、CEA(主に大腸癌)、CA19-9(消化器系癌)、AFP(主に肝細胞癌)、PSA(前立腺癌)、の検査を行っております。その他、心臓疾患の検査として、BNPやトロポニンIなどの検査を行っております。
上記の検査項目を院内で実施することで、検査結果をより早く臨床側へ報告できるようにしております。
血液ガス検査
血液中の酸素や二酸化炭素の量を検査しています。
血液ガスは主に血液中の酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、pH、重炭酸イオン(HCO3-)など検査し、患者の生死に関わる重要な緊急検査です。血液のpHは肺と腎臓で調節をしていて、常に弱アルカリ性に保たれています。血液ガスを検査することにより、pHが肺の働き(呼吸系)・腎臓の働き(代謝系)どちらかの障害によってpHが上がっているのか、下がっているのかを見ています。
当院では血液ガスに貧血の診断に有用なヘモグロビン濃度(Hb)や血糖値などを含めて一緒に検査し、より詳しい検査結果を早く臨床側に報告しています。
輸血検査
輸血とは、赤血球(酸素を運ぶ)、血小板・凝固因子(出血を止める)、血漿蛋白(血液循環を安定させる)などの成分が不足した時に、その機能を補うために行われます。その際、出来るだけ安全な輸血が実施できるように検査をし、輸血製剤の準備をしています。 また、当院では献血による他人の血液を入れる輸血の他に、自分の血液による自己血輸血の貯血や、使用するまでの製剤管理も行っています。 そのほか、血液型検査も行っています。
生理検査
直接患者様の身体を対象として実施される検査です。
循環器機能や呼吸機能、神経伝導検査などを測定、記録します。
以下のような各専門部署に分かれて行っています。
心電図
心臓の動きをみる検査です。
安静時心電図、24時間心電図、運動負荷心電図などの種類があります。
ABI
動脈硬化の度合いを調べます。血管の硬さやつまりがわかる検査です。
肺機能検査
慢性気管支炎・気管支喘息など呼吸器疾患の重症度診断や手術の際の方法の決定などを目的で実施されます。
超音波検査
消化器、心臓、乳腺、甲状腺、頸動脈などの血管などを調べます。
現在、消化器領域3名、循環器領域2名、表在領域1名、泌尿器領域1名、婦人科領域1名(重複取得を含む)の超音波認定技師が在籍しています。

当院では日本臨床衛生検査技師会より
患者様の血液などの検体のデータを精度高く臨床に
報告している精度保証施設として、認証書を頂きました。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)検査
夜間の睡眠状態・呼吸状態・血中の酸素濃度などの項目を、様々なセンサーを取り付けて調べます。1泊入院(個室)をして検査を行います。その他に聴力検査や脳波検査なども実施しています。
検査科よりお知らせ
検査科ではこの度、新型超音波診断装置を導入致しました。
この機種は、浅い場所に存在する乳線などの病変には有用で、病変部位の硬さを映像化するエラストグラフィー機能を備えております。良性疾患だと柔らかく、悪性疾患だと硬い事が多い
とされており、その解析が可能となりました。 また、今までの超音波検査ではほとんど表示出来なかった乳線疾患の微細石灰化を抽出し、視認性を向上させるマイクロピュア
機能も導入致しました。さらに、今までの検査では、縦方向と横方向のみが画像表示が出来ましたが、今回は水平面の画像表示が可能となりました。
これにより病変の周囲への伸展度や周囲組織の巻き込み像の判断が可能となりました。他にも、各血管や各腹部臓器内の血管構築を
立体画像として観察することが可能となりました。
当科では、この技術を応用して臨床に寄与したいと考えております。
正常乳線の超音波像
Aが縦断面、Bが横断面、
Cが水平面、Dが立体構築した画像
正常乳線の縦断面超音波像を
厚み付き画像で表示
正常乳線の水平面、縦断面、横断面の超音波像をそれぞれ0.5mm間隔のスライスで表示
乳線良性腫瘤の超音波像
Aが縦断面、Bが横断面、
Cが水平面、Dが厚み付き画像
乳線良性腫瘤の水平面の超音波像
腫瘤と周囲組織の境界は明瞭に表示されている。
乳線悪性腫瘤の超音波像
Aが通常像、Bがマイクロピュア像
小さな微小石灰化が描出されている。
乳線悪性腫瘤のエラストグラフィー像
周辺組織に比べて病変部は高い弾性を呈示している。
乳線悪性腫瘤の水平面の超音波像
腫瘤と周囲組織の境界は不明瞭で周囲を巻き込んで横方向に伸展している。
肝臓良性腫瘤の立体構築した超音波像 腫瘤周囲の血管構築が描出されていない。










